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再生の住まい

 私の友人は、市内から自動車で1時間半余りのところに土地を購入しました。古家付きの土地なのですが、かなり安く手に入りました。彼女の御主人は、定年退職を前に大病をして、病院で数か月の闘病生活を強いられました。それでも、完全に病気になる前の身体には戻りませんでした。この状態を受け入れることができなくて、御主人はまるで別人のように、無気力になりました。これからは、1ヶ月に1度の経過観察は必要ですが、入院を続ける理由もなく、近くのリハビリセンターでのリハビリを続けていくことで機能回復をはかることになりました。

この土地を購入したのも、効果的なリハビリを実践しているこのリハビリセンターに通いやすいということもありました。もう一つの理由は、昔のように、絵を描いて欲しかったからです。趣味で風景画を描いていたころの御主人は、穏やかで、優しい笑顔をしていました。そのために、自然豊かなこの土地を選びました。

平屋の古家は土台がしっかりしていたので、内装を全てやり直すことで、できるだけ工期を短くして、バリアフリーのシンプルな間取りにすることにしました。リビングダイニングとキッチンは仕切りもなくし、県内産の杉のフローリングにしました。

リビングのフルオープンのはき出し窓の外に、リビングと同じ広さほどあるウッドデッキを設置しました。天気の良い日は、食事をここでしたり、絵を描いたりできるようにしました。もちろん、すぐには、絵を描く気にならなかったようですが、少しずつ少しずつリハビリが進んで、笑顔が戻ってきました。最近、彼女は昼間の数時間、近くの道の駅で、働いています。こじんまりとした平屋は彼女たちの再生の住まいになっていきました。

古民家再生

  テレビ番組で古民家の再生を取り上げたものがありました。人気があるようなことは聞いてはいたものの具体的にはよく知りませんでした。

 番組が進むにつれ、どんどん興味をそそられるように引き込まれていきました。築何十年も建った風化しそうな古い建物が最後には新しささえ感じるようなモダンな建物へと変化していったのですから、それはイルージョンのようでした。

 古民家に利用されている木材は、保存状態のよい物なら建てた当初よりも木材自体の強度が増すといいます。木造在来工法で建てられる民家には太い柱や梁が随所で使用されています。古民家を再生する際にこれらの柱は残されて他の材は間引いていきます。新しい木材と古材とでは年季が違い、まったく色味が異なっています。新しい木材は古材に合わして着色することはしません。あえて違いを出すことで古くなった建物を壊して作り替えるのではなく、手を加え存続させていることを誇張しているようにさえ感じます。

 それが古民家を再生させるということなのでしょうね。

 滋賀のリフォーム会社でしたが、最近は古民家の再生を依頼されることが徐々に増えてきたと言います。マスコミに取り上げられると余計に反響を呼んで古民家再生の依頼が増えるのではないでしょうか。

 完成した古民家は本当に素敵でした。新しい中に見え隠れする古きよき建材が息を吹き返し、生き生きとしているのが印象的でした。片田舎のような場所でしたが、周りの風景にもすんなりとマッチしていたモダンな古民家。伸びた軒の下にある広縁で夫婦でのんびりとお茶を飲んでいる施主夫婦の映像が今でも目に焼き付いています。